核兵器廃絶地球市民集会ナガサキによる2015年NYで行われたNPT会議のリポートです。

核戦争防止国際医師会議 (IPPNW) 主催
核の飢餓と核兵器禁止条約 三根真理子

 IPPNW 主催の 「核の飢餓と核兵器禁止条約」 のセッションは 4 月 28 日、 午後 1 時 15 分から開始された。 司会は IPPNW のスタッフであるジョン・ロレッツであった。
 アラン・ロボック博士の講演が主で 1 時間 15 分という限られた時間での討論であった。 博士は気候学の世界的権威である米ラトガース大学の教授である。
 インド・パキスタン間において、 それぞれの国が 50 発の広島原爆相当の核兵器を使用したと仮定した場合、 爆発により巻き上がった粉じんなどで太陽光線が遮蔽され、 約 10 年にわたって気温低下などの気候変動がもたらされること、 そしてその影響で食糧生産が壊滅的な打撃を受け、 10 億人が餓死する地球規模の 「核の飢餓」 が起こりうることを報告した。

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核戦争防止国際医師会議 (IPPNW) 主催,
核の飢餓と核兵器禁止条約,
撮影 竹田 譲

核兵器使用の被害が当該地域のみならず、 地球上の人類すべてに影響を与えうることを立証した。
 南アジアにおける限定的地域核戦争が農業生産の減少に及ぼす影響に関する最新のデータは、 グローバルな飢饉が 20 億人以上の人々を脅かすことを結果するという懸念を引き起こしている。 この飢饉によって伝染病やさらなる紛争が生じれば、 それはさらに何億人をも危機に陥れる。
 地球の平均気温や降水量の低下に起因する米国のトウモロコシ及び中国のコメ生産の 10 %減に伴い、 主に開発途上国において 10 億人を超える人々が飢餓に陥るというものである。 シアとロボックは、 13 年 10 月、 南アジアで地域的核戦争が起きたとする第 1 版と同じ仮定と同じ気候変動予測モデルを用いて、 中国の冬小麦、 及びトウモロコシ生産への影響を評価した。 それによると、 とりわけ中国の冬小麦生産への影響が大きく、 核戦争後の最初の 5 年は生産高が 39 %減、 10 年を通じても平均 31 %減になる。 この結果、 カロリー摂取の多くを穀物に依存している世界最大の国、 中国において、 深刻な食糧不足が発生する。 アイラ・ヘルファンドの 「核の飢饉」 第 2 版は、 その最新の論文を踏まえ、 飢饉に陥る人口を再評価したところ、 核戦争によって引き起こされる飢饉により脅かされる人々は、 10 億人ではなく、 優に 20 億人を超えることになるとの結論に達した。
 この内容は一部、 ピースデポ発行(2014年3月15日)の核兵器・核実験モニターより引用した。