被爆者フォーラム
核兵器廃絶べ向けた被爆者運動の今後と被爆体験の継承
被爆者に限らず、多くの人が継承活動を

 被爆者フォーラムのテーマは「核兵器廃絶へ向けた被爆者運動の今後と被爆体験の継承」でした。そして核兵器廃絶のために被爆者、被爆二世、NGO、戦後世代がどんな運動を展開したらいいのか話し合いました。
  14人の発言通告がありました。被爆者の山田拓民さんは、当面の被爆者の課題は日本政府の姿勢を変えさせることだと発言されました。今回の地球市民集会ナガサキでは、海外からの発言も国内からの発言も日本がアメリカの核の傘から脱出することが必要だという意見がしばしば述べられましたが、日本政府の姿勢を変えさせようという主張は核の傘を脱するための日本国の内側からの運動だと位置づけることができると思います。
 政府の姿勢を変えさせる具体的な方法とは、戦争や原爆によってもたらされる被害は、国民が等しく受忍して当然だとずっと主張し続けている日本政府に、その方向を転換させ、原爆被害を、そして広くは戦争被害を責任をもって救済し補償する政府になるよう運動を展開することで、その努力を一層続けたいと決心を述べられました。
 長崎被爆二世の会代表の小浜ちず子さんは、健康不安をかかえる被爆2世の声を政府に届け、被爆者援護法が適用されるように運動したいと訴え、被爆2世の会を結成した理由を説明されました。
 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会の湯浅一郎さんは、NGOの活動では一人一人の問題意識を尊重した多様な活動を認めることが大事で、一人一人が自分で広島を、長崎を自覚し、核の問題を自分の生き方の中へ取り込む努力が必要だと主張されました。
  また、湯浅さんは、アメリカなど核保有国の市民や、日本が侵略したアジア諸国の市民に被爆の実相がほとんど伝わっていないことを指摘し、国際的な証言活動、原爆展のより積極的な推進の必要を強調されました。
 現在、長崎の平和案内人として活躍中の調 仁美さんは戦後世代として、長崎を訪れる人たちと直接ふれあい、被爆者の「想い」と「願い」を伝えて被爆体験の継承に役立とうとしておられます。
 
青年たちとの交流で受ける質問には平和祈念像はなぜ男の人なのといった質問と同時に長崎原爆のプルトニウム爆弾の基礎知識、核をめぐる国際情勢の質問などがあることも紹介されました。
 基調報告では、世界のヒバクシャの国際的結集、具体的には世界被団協の結成の必要が述べられました。発言者の主張の多くは国内問題に向けられました。


第3回大会のキャラクター





コーディネーター
 長崎総合科学大学助教授
 芝野 由和
 広島大学名誉教授
 舟橋 喜惠
スピーカー
 長崎原爆被災者協議会事務局長
 山田 拓民
 核兵器廃絶を目指すヒロシマの会事務局
 担当運営委員

 湯浅 一郎
 長崎被爆者2世の会代表
 小浜 ちず子
 平和案内人
 調  仁美



要約
 被爆者運動の今後と被爆体験の継承などについて考えた分科会。
 海外での被害による証言活動や原爆展の積極的な推進などを求める意見がありました。
世界各地に核実験などによる核の被爆者がいる現在、世界の「被爆者団体協議会」を結成するべきとの提案がありました。

 

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