青少年フォーラム
核兵器廃絶に向けた若者のアプローチ
小さなこと・できることから地道に活動を続けていこう。
コーディネーター河野晋也氏報告

青少年フォーラムでは、「若者が核兵器廃絶のためにできることを考える」をテーマにした参加型の分科会である。スピーカーとしてディスカッション等に参加した青少年は90人を超え、広島・東京や国外からの参加者もあり、さまざまなバックグラウンドをもつ若者の活発な意見交換がなされた。
 プログラムはプレゼンテーション、被爆者講話、ディスカッションに分けて行った。
プレゼンテーションの目的は核に関する「知識」を得ることによって核兵器廃絶の意識を高めることである。平和を侵害する要素の中でなぜ核兵器がこれほど大きく取り上げられるのか、という疑問に答えるプレゼンを試みた。普通の兵器にはない核兵器特異性に着目して放射線・爆風・熱線の恐ろしさ、現在の社会における核兵器の現状を確認した。
また、「問題は、それに気付いた人が問題として提示して初めて社会の中で問題として認識される」という提言を行い青少年の積極的な行動を呼びかけた。  
  次の被爆者講話では、被爆者の語りを受けて核兵器反対という「感情」を高める作業を行った。講話していただいた下平作江氏、山脇住朗氏は短い時間にもかかわらず、密度の濃い貴重な体験を話してくださった。特に被爆当時の体験談だけでなく、被爆後、特に参加者と同年齢である20代の頃の体験や「若者に望むこと」というテーマで話していただいた。特に「若者に望むこと」というテーマでの講話については率直な意見が聞けてよかった、活動の意欲が沸いたという感想があった。
 
今回のフォーラムの中心であるディスカッションでは、これまでに高めた「知識」と「感情」を生かし、参加者が班ごとに「若者が核兵器廃絶ためにできること」というテーマに基づいた議論を行い、最後に班ごとに意見をまとめて発表した。
  これまでの講話やプレゼンテーションから、参加者の多くがこの時点で「何かやらなければならない」という危機感を共有しており、小さなことから地道な活動を続けていく必要があるという点においても多くの参加者が賛同していたようである。青少年の活動はまず個人ができることを見つけ実践していくことが肝心である。その活動を今回のフォーラム参加者の連帯に広げ、少しずつ拡大し、発言していくことが大きな活動や核廃絶への動きにつながるという意見が多くあった。また、発信していくために「知る」というプロセスを大切にし、正確で重要な問題を見落としてはならないという意見や、今回のフォーラムに参加していない若者、今まで平和に関心のない若者にどのように興味を持ってもらうかという問題に対しても意見が多数出ていた。中には、被爆者の講話を受けて、次は自分たちが継承していく世代である実感した参加者も多く、次世代の子供に伝える重要性を説く意見もあった。
 結果1時間では収まりきれないほどの活発な議論が行われ、各班からの最後の発表では、「青少年同士の概念の部分での連帯」「関心がない人に関心を持ってもらうこと」「個々人のモラルに訴える行動」「多くの人が参加しやすい雰囲気を持った活動と参加機会の提供」「活動の連帯・継続・拡大・発信」「信頼性のある情報とイベントを発信すること」などが重要であるとの発表がなされた。この発表のときに、多くの班で「深く知ること」と「発信すること」の両方が青少年のすべきこととして結論に結び付けていたことが印象的であった。  
 閉会の際、「知ること」「発信すること」といったこれからの活動を継続的に行うべきである、という提言がコーディネーターから出された。これは青少年の活動は今回のフォーラムのみで終わらすのではなく、今後も活動を継続していくことで大きな意味を持った活動になる、という意識からの提案である。そこで、今回のフォーラムをきっかけにし、ここで作った連帯を活かしてこれら今後の活動にも参加してもらうようコーディネーターより呼びかけた。
 継続的な事後活動案として各コーディネーターは「平和教育における活動」や「長崎以外の土地との連帯を推進すること」、「諸外国の青少年との交流会」等の提案をした。回収したアンケートからは、ほとんどの参加者が事後活動にも参加を希望しており、参加者が今後の青少年の活動に求めるものとして、「長崎・広島以外の都道府県での活動や長崎・広島と他府県の連携をしたい」「知識をより深めたい」「今まで関心のなかった多くの人にも拡大したい」「活動を継続したい」「自分にもできる活動を探したい」などの要望があった。
 フォーラム全体を通して、参加者・コーディネーター両方で共有できたことは、若者同士の連携・協力、活動の拡大・持続、知識を深め発信することの大切さ、といえる。これを念頭に置いて、県内県外の参加者・コーディネーターが連帯を大切に、提案された事後活動案を元に継続的な活動をしていきたい。



第3回大会のキャラクター





コーディネーター
 長崎大学大学院生
 河野 晋也
 長崎大学生
 茅野 龍馬
 長崎大学生
 増永 智子
 長崎大学生
 坂田 祥文



要約
 若者が核兵器廃絶のためにできることについて話し合った分科会。
約90人の青少年が積に対する知識を深め、自分たちにできる平和活動について意見交換を行いました。意見交換の結果、「参加しやすい平和活動の実施」「活動の連携・継続・拡大・発信」などの活動案が発表されました。

 

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