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非核兵器地帯と核の傘 |
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非核地帯の意義と北東アジアにおける挑戦
北東アジア各国の信頼関係を築き、非核地帯の実現を
ジャルガルサイハン・エンフサイハン氏による報告
モンゴルのNGO、ブルーバナーの所長をしておりますジャルガルサイハン・エンフサイハンです。多数の参加を得た分科会「非核兵器地帯と核の傘」について報告することを光栄に思っています。この分科会ではピースデポ代表の梅林宏道氏と私がコーディネータを務めました。
また、アメリカ核政策法律家協会のジョン・バローズ事務局長、インド・デリー大学のアチン・バイナク教授、長崎大学大学院の朝長万左男教授、韓国・聖公会大学のクオン・ヒョクテ教授、外務省軍縮不拡散・科学部軍備管理軍縮課の芹澤清課長、そして私がプレゼンテーションを行いました。
最新の顕著な例では10月9日に実施された北朝鮮による核実験など、核不拡散システムの有効性が問われる中、スピーカーは非核兵器地帯の様々な面に焦点を当て、その重要性が高まってきていることを強調しました。
梅林氏は冒頭の発言で、国家が取り得る3つの選択肢―核武装する、核の傘の下にいる、非核兵器地帯のネットワークに加わる―を示しました。最初の2つは、実際には安全保障のため核兵器に頼る、という1つの選択肢の表裏を成すものですが、3番目の選択肢は非核兵器地帯に頼る、ということです。前者を選択すれば核兵器への依存と軍拡競争を生み、後者を選択すれば核軍縮と協調につながります。
1964年に中国が初めて核実験を行なった後、日本は前者を選択しました。今、日本はその選択を見直す必要があります。
ブルーバナー代表のプレゼンテーションでは、特に非核兵器地帯の第二世代の重要性に触れ、その取り組みにおける革新的で従来の枠組みにとらわれないアプローチの必要性が強調されました。また、単一国非核兵器地帯の諸問題を、核をめぐる状況における「盲点」だとして、こうした問題に取り組む必要性を明確に示しました。
バローズ氏がプレゼンテーションにおいてとりわけ強調したのは、安全保障を強化するとともに、既存の非核兵器地帯内において、国家が管理するウラン濃縮やプルトニウム再処理の能力の制限や禁止を進める必要があるという点でした。これはまた、北東アジアおよび中東の非核兵器地帯構想に応用しうるものです。
バナイク教授は、南アジアの市民社会が南アジア非核兵器地帯創設に向けた努力をすべきであり、例えばネパール新政府の単一国非核兵器地帯の実現に向けた動きなど、この目標に合致する具体的な措置を講じなくてはならないと述べました。インドとパキスタンの関係では、両国は国境両側に短距離ミサイル配備の禁止地帯を設け、他にも様々な信頼醸成措置をとると同時に、不戦条約や先制不使用宣言を受け入れることができるはずだと述べました。
朝長教授は核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の活動概要を説明し、また、日本が核武装を推し進める危険性を指摘しました。非核兵器地帯の推進がこの地域の長期にわたる平和への唯一の道であり、北朝鮮が核兵器を、韓国と日本が核の傘を同時に放棄することを真剣に検討すべきであると述べました。
クオン教授のプレゼンテーションでは、北東アジア非核兵器地帯の確立こそが軍事的不均衡を緩和し、一国平和主義を打破する最も効果的なイニシアチブであるということが強調されました。教授は政府や民間企業による主導ではなく市民が主役となり運動を進めていく必要性を指摘し、また、歴史教育や平和教育は広島・長崎の原爆投下に対する歴史認識の誤認や誤解を克服する上で極めて重要であると述べました。
芹澤氏は、北朝鮮の核実験に対する日本政府の立場、それが近隣諸国や6カ国協議に与える可能性がある影響について詳しく述べました。また、日本はこれまで同様、国連総会で核軍縮決議案を提出していくであろうということ、またその特徴を明確にしました。
北朝鮮による核実験のために、プレゼンテーションやそれに続くディスカッションでは当然のことながら核実験の当面の意味合いや長期的な影響に話題が集中しました。質疑応答では、特に日本の外務省の代表に対して多くの質問が向けられました。質問の内容は、先の核実験や核の傘に対する日本政府の立場や方針、アジア諸国からより大きな信頼を獲得するために何をすべきか、日本はアメリカが北朝鮮に対し安全保障を提供することに反対なのか、プルトニウム問題、などでした。
最後に梅林氏は、分科会は当初、北東アジア非核兵器地帯の創設に関する実際的な問題を中心に取り上げることを意図していたが、北朝鮮の核実験および日本政府の方針に関する問題が大きな注目を集めた点を指摘しました。氏は今後の行動に向けた2つの道が提案されていると述べました。1つは非核兵器宣言を行なっている1100の地方自治体が声を上げ、草の根運動を拡大すること、もう1つは核軍縮議員ネットワーク・日本(PNND
Japan)にアプローチすることです。日本国民は有権者としてこうした組織や国会議員にアプローチし、北東アジア非核兵器地帯を追求していくべきであり、また、氏は配布したモデル条約案が北東アジア非核兵器地帯の設立が達成可能な目標であることを示すだろう、と指摘しました。
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第3回大会のキャラクター
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