分科会報告
分科会2:非核兵器地帯と核の傘
非核兵器地帯の意義と北東アジアにおける挑戦



<はじめに>
 10月9日に北朝鮮が地下核実験を強行したという緊迫する情勢の中で、この分科会には大きな関心が集まった。
 分科会はコーディネーターの一人である梅林宏道さんの趣旨説明で始まった。梅林さんは「私たちは地球市民の一人として集まっているが、同時に国民国家の主権者としての責任もある。自分の国が核時代においてとるべき選択には一見三つがあるように見える。
1.核兵器を持つ。2.持たないが核の傘に入る。3.非核地帯を形成する。
しかし、1と2は核兵器に依存するという点で同じだ。大切な選択は、核兵器に依存するか否かの選択にある」と、基本的な考え方を整理した。
 そのうえで、分科会の狙いは、「非核兵器地帯」という概念の重要さと有用さを原理的に再確認すること、また、日本を含む北東アジアにおいて「北東アジア非核兵器地帯」を実現することの必要性と重要性を議論し、その実現への具体的方針にまで踏み込んで話し合うことである、と述べた。
 続いて梅林さんは北朝鮮の核実験にふれた。準備段階で、9月8日に中央アジア非核兵器・地帯条約が成立したという「良いニュース」があったが、10月9日に北朝鮮が核実験を行うという「悪いニュース」でそれがかき消されてしまった。核実験には強く抗議したいが、「今こそすべての核兵器を否定する非核兵器地帯に向かうべきではないか」と強調した。

<モンゴルの一国非核兵器地帯>
  次に、もう一人のコーディネーターであるモンゴルNGO「ブルーバナー」代表で元モンゴル国連全権大使のJ・エンフサイハン大
便がスクリーンを使って非核兵器地帯の利点と弱点、それを克服する道をモンゴルの経験を基礎にして話した。
 エンフサイハンさんは、非核兵器地帯は地域的な不拡散措置であり、地域的な安全保障を強化し、グローバルな核軍縮を促進すると一般的な非核兵器地帯の価値を強調しつつ、とりわけ核不拡散条約(NPT)では達成できない非核兵器地帯の重要な役割を指摘した。それは、NPT参加国の領土に核兵器を配備することを禁止するという点である。非核兵器地帯を増やすことは、このような抜け穴を防ぐ意味がある。
 現存する非核兵器地帯やその歴史について、エンフサイハンさんはスライドを使って分かりやすく解説した後、現在の5つの非核兵器地帯に114か国の20億人の人口が含まれており、地球面積の50%、南半球面積の95%面積を占めていると数字を示した。それは勇気づけられた情報であった。
 北東アジア非核兵器地帯について、エンフサイハンさんは第2世代の非核兵器地帯であると位置づけた。第1世代は、核兵器保有国が比較的直接的な核戦略上の利害が絡まない地域で進行したのに対して、第2世代は核兵器インフラストラクチャー(通信基地や指揮・統制など)、核の傘、核分担〔北大西洋条約機構(NATO)のニュークリア・シェアリング〕、核兵器協義などが絡む地域で追求される。そのような第2世代の非核兵器地帯を追求する地域の例として、中東、南アジア、中央ヨーロッパ、北東アジアが挙げられた。
 最後にエンフサイハンさんは、非核地帯で覆いにくい1ダース以上の国がヨーロッパやアジアにあり、それらの国が一国非核地帯を選択する意義を強調した。モンゴルが果たしている先例としての役割がそこでは極めて大きい。だからこそモンゴルの一国非核兵器地帯に対する安全の保証に対して国際的に重大な関心が払われるべきであると強調した。これは貴重な指摘であった。
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<安全の保証の重要さ>
 続いて米国の核政策法律家委員会の事務局長ジョン・バローズさんは、国際法の専門家の立場から非核兵器地帯の現
状について発言した。とくに非核兵器地帯が議定書の中で要求している安全の保証問題(消極的安全保証)についての議論が重要であった。
 まずバローズさんは、NPTの文脈ではしばしば「消極的安全保証」に法的拘束力を与えることが要求されているように、安全の保証は非核兵器地帯の重要な要素であるにもかかわらず、軽視されている状況を批判した。一方では、議定書があるにもかかわらず、それに未批准である核兵器国に対して強く批准を要求するべきだという当然の訴えを行った。しかしそれと同時に一方では、いくつかの核兵器国がその議定書に署名しているにもかかわらず、アフリカ非核兵器地帯条約が長期にわたって発効しないのは、アフリカ諸国が安全の保証を重視していないことを示すことになり好ましくないと指摘した。
 また、トラテロルコ条約(ラテンアメリカ・カリブ非核兵器地帯)の消極的安全保証の議定書にはすべての核兵器国が批准を済ませているが、核兵器国は一方的宣言を添えて条件を付けている現状に注意を喚起した。たとえば米国も英国も「加盟国が核兵器国と結託して侵略行為を行った場合には、議定書に拘束されない」趣旨の発言を行った。このような発言が、条約加盟国によって放置されているのは好ましくないと指摘した。これへの対抗として、バローズさんは、最終的には条約の枠内において核兵器国と安全の保証について交渉するべきであるが、まずは、加盟国はそれぞれが一方的宣言によって核兵器国のその
ような宣言を拒否する行動をしてはどうかと提起した。
 バローズさんはまた、非核兵器地帯は理想主義と現実主義の両方が追求される場だとして、新しい非核兵器地帯を構想するときには、一国が管理するウラン濃縮施設やプルトニウム抽出施設を地帯内に作らないなどの制約を課すこと(北東アジアにも深く関係する)、ピースデポの北東アジア・モデル非核兵器地帯条約にあるように安全の保証を強化することなどを追求したいと述べた。

 
<危険が増した南アジア>
 インドの核兵器反対運動のオピニオン・リーダーの一人であるアチン・バナイクさん(デリー大学教授)は、インド・パキスタンの緊張、米印原子力協定、イラン核問題に触れつつ、非核地帯に関するいくつかの問題提起を行った。インド政府もパキスタン政府も、1998年の核実験を正当化するに当たって、核兵器保有によってより安全になると言ったが、8 年後の今、より危険な現実に直面していると、バナイクさんは述べた。そして、99年のカルギル戦争、01〜02年の10ケ月に わたって100万人以上の部隊が対時した国境の緊張のいずれにおいても、核攻撃・報復攻撃の準備が双方においてなされたことを例として掲げた。南アジアでは非核兵器地帯への歩みはおろか、核兵器「安全」地帯への歩みも進んでいないという。一方では、両国の核搭載用のミサイルの高度化のみが進行している。
 しかし、市民レベルでは果敢な挑戟が行われていることも報告された。インドの「核軍縮連合(CNDP)」とパキスタンの「パキスタン平和連合(PPC)」が協力して一連の核の危険削減措置を提案したが、その一つは、国境をまたぐカシミール地域を非核地帯化するという提案であった。また、バナイクさんは南アジア非核兵器地帯へとつながる一つの道として、ネパールがモンゴルと同じような非核地位を獲得するというアイデアを示唆した。
 米印原子力協定に関しては、戟略的・政治的側面、核兵器の側面、核エネルギーの側面の三つから考察しなければならないと、バナイクさんは述べた。そして核兵器の側面に関しては、米印原子力協定が成立すれば、発電用ウランを輸入に頼ることができる分だけ、国産ウランを査察を受けない核兵器用原子炉に使うことができる、と指摘した。つまり、米印原子力協定はNPTに参加していないインドを特別優遇するという二重基準の問題だけではなく、インドの核兵器計画を支援する結果になるという。
 イランの核計画に関しては、バナイクさんは、選別的にイランにのみ核燃料サイクルの保有を許さないという米国を中心とするやり方は公正ではなく、中東非核・非大量破壊兵器地帯の推進こそ真の解決であると主張した。そして、核エネルギーの利用に関しては、スウェーデンのノーベル平和賞受賞者ミュルダールさんのかつての提案を受けて、核兵器国と非核兵器国の区別なく完全透明化を義務付ける新しい多国間条約を追求すべきだとバナイクさんは述べた。
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<北朝鮮の核実験に冷静な対応を>
 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の副代表を務める朝長方左男さん(長崎大学大学院教授)は、ヘルシンキで9月に開かれたばかりのIPPNW国際会議での経験を交えながら、主として北朝鮮の核実験後の北東アジア情勢について語った。
 まず、ヘルシンキにはIPPNW北朝鮮支部の幹部3人が参加をしており、2008年6月にモンゴルのウランバートルで開催予定のIPPNW北アジア大会にも参加することを約束したという興味深い事実が報告された。ところがその直後に北朝鮮の核実験予告の声明があり、1ケ月後には核実験が強行された。朝長さんは、北朝鮮代表は海外で核問題について自由な発言などできな
い状況に置かれているであろうと述べた。
 核実験のタイミングが、誕生したばかりの日本の安倍政権が訪中、訪韓で中国と韓国の関係修復をしている最中に行われたことを、朝長さんは北朝鮮の意図を感じると分析した。そのうえで、日本、韓国、中国の3つの東アジア主要国が、米国との関係は3者3様であり、この3か国の対話を深めることが、今後の北朝鮮問題の解決にとって重要であると指摘した。また3か国の間には、中東や南アジアと異なり宗教的葛藤がないという幸いがあり、共通の文化的背景を生かすことが可能であると述べた。
 日本に起こるかもしれない核武装論に対して、朝長さんは「愚かなことであり、絶対に避けなければならない。我々は冷静に対応しなければならない」と訴えた。そして日本の核武装は質量とも北朝鮮をしのぐものになるのは避けられず、日中の核対決の図式を生むと指摘した。
 朝長さんはまた、医者の立場からの核兵器観をのべ「核兵器が国際政治を牛耳っている状況は、人類にとって、中世ヨーロッパの人口を3分の1に減らせた疫病ペストほど異常な状況だ」と述べた。1980年代、「核の冬」の告知などでやっとその異常に気付いて核兵器廃絶の流れができたが、米ロのエゴイズムで流れは生かされなかった。9.11以後は核テロが深刻な問題になっているが、一部の国への核不拡散のみを脅威と見なす米国を中心とするダブル・スタンダードがまかり通っている。世界は、脳軟化症による「麻痔」に陥っているようであり、回復不可能になる可能性があると警告した。
 そして、時間がかかるかもしれないが、北東アジア非核兵器地帯の実現は目指すべき道であり、日本政府は中央アジア非核兵器地帯実現を支援した実績を生かし、自らの地域の非核化を現実的目標にして頑張って欲しいと訴えた。

<市民主導の非核化へ>
 クオン・ヒヨクテ(権赫泰)(聖公会大学教授)さんは、流暢な日本語で講演した。クオンさんは歴史的に積み重ねられてきた日韓の市民意識の深層を考察してきた立場から、北東アジア非核地帯化について問題琵起を行った。
 クオンさんは、「北東アジアが核戦争の危機にさらされているにもかかわらず、市民意識が低い。北朝鮮の核武装という事態に対しても、市民意識は<政府任せ>が主流である」という現状認識を述べるところから出発した。
 その理由を考えるために、クオンさんは持論であるこの地域の諸国家間の「非対称性」というキーワードを説明した。それは一方の「平和」が他方の「非平和」によって成り立つような関係であるという。たとえば、韓国の反共独裁政権が防波堤となって日本の平和憲法体制を支え、南北関係の融和(太陽政策)が日本の脅威と認識されて日本が右傾化が促進するように現象する。このように、北東アジアでは地域のまとまり概念としての「北東アジア」という地域概念は弱く、むしろ地域は孤立性、分散性で特徴づけられる。この観点からすると、「あなたの平和なしに私の平和は実現しない」という考えに立つ北東アジア非核兵器地帯構想は、この非対称性を打破することのできる発想であろう。
 しかし、その実現には、歴史的に形成された非対称性を認識し、それを克服する努力が意識的に行われなければならないとクオンさんは強調した。核を巡る認識の違いが、このような非対称性の一つとして根強く存在している。たとえば、「唯一の被爆国」という表現がしばしば日本で登場する。日本では被爆国の責任を強調するためにこの表現を使っているかもしれないが、アジアの他の国には素直には伝わらない。本来、「核兵器・対・人間」という構図であるべき問題を「核兵器・対・日本国民」とい
う構図へと転換させるレトリックととらえられる。そこには、被爆を一国の特殊な悲劇として国家的な枠に閉じこめようとする傾向が見える。したがって、北東アジア非核兵器地帯を、「唯−の被爆地帯」という認識のうえに形成するのは容易ではない。
 北朝鮮の核実験によって、非対称性の問題はさらに複雑化したとクオンさんは述べた。北朝鮮にとっては、核保有は軍事的な非対称性をなくし自国の安全を図るための選択であり、日本がアメリカの核の傘によって「保有」している核に対抗するものになっている。にもかかわらず、日本は日米同盟(「核の傘」)のいっそうの強化、さらには米国が容認する核武装(イギリス型核武装)へと「最悪の連鎖」に向かう可能性がある。「北東アジア非核兵器地帯」構想は、このような状況を食い止めるための新しいスタートラインに立っていると言えるが、そのためには<政府任せ>から市民主導に転換する努力が必要である、とクオンさんは締めくくった。
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<信頼関係の構築が大切>
 国会開会中の多忙な時期にもかかわらず得られた日本外務省の芹沢清・軍備管理軍縮課長の参加は、感謝の言葉で迎えられた。芹沢さんは、国連総会第一委員会に提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」を紹介しながら
日本政府の基本的な考え方をまず説明し、その後、北東アジア情勢に言及しながら非核兵器地帯に関する政府の立場を説明した。
 国連決議案に関しては骨子を述べた資料が配付された。その上で日本政府の基本的立場として2つの点が強調された。一つは、現実的に一歩一歩前進するべきであり、そのために核兵器国も賛成できるような内容を工夫していること、もう一つは核兵器廃絶における市民社会の役割を重視していることである。後者については、政府はさまざまな制約の中で動かざるを得ないが、市民社会は政府にできないことでも先を行くことができると、両者の役割分担が必要であると述べた。
 非核兵器地帯の設立に関しては、「核の傘」か「非核兵器地帯」かという自と黒の2者択一ではなくて、中間のアプローチ、つまり「核の傘」で核兵器に頼ることを容認しつつ「非核兵器地帯」の条件を探る道があってよい、と芹沢さんは述べた。その上で、日本の非核三原則、南北朝鮮の非核化宣言があるにもかかわらず非核地帯が進まないのは、相互の信頼関係が欠けているからであると、信頼醸成こそが鍵となると強調した。そして、日本政府は6者協議や2国間の協議の場を呼びかけることによって信頼醸成の努力をしていると説明した。
 このような発言の中で、一つ注目すべき内容があったことを記録しておくべきであろう。それは北東アジア非核兵器地帯構想について、「日本と韓国と北朝鮮が核のない状態となり、それを米国、ロシア、中国が尊重するという形が、共通認識になっていると思う」と芹沢さんが述べた与とである。これは、NGOが繰り返し説明してきたスリー・プラス・スリー構想が外務省の中でも、やっと共通の言葉になっていることが現れたものとして喜ぶべきことである。

<多くの新提案を含む活発な討論>
 休憩の後、梅林コーディネーターのもとで会場との間で活発なやりとりが行われた。日本政府に対する意見や提案という形での発言が多かったが、その中には今後の運動に向けて認識を深めたり、アイデアを発展させることのできる内容が多く含まれていた。
 日本が「核の傘」から出るという選択をするのに伴う困難は何か、という質問に対して、芹沢さんは、政府は現に核兵器がある中で国民を守る義務があり、「核の傘」から出るという方向を目指すのではなく、結果として「核の傘」から出てもよい状況を作ることを目指すと述べた。また、「核の傘」から出るという方向ではなくて、「核兵器をなくす」という方向を日本政府は目指しているとも述べた。これは、「核兵器が存在する限り、日本政府は核兵器への依存を続ける」とも受け取れる説明であり、日本政府の真意を理解するには、今後さらに対話を深める必要があることが浮かび上がった。
 このやりとりに関連して、バローズさんは、日本はまず<ノー・ファースト・ユースの傘>を米国に求めたらどうか、と提案した。
つまり、日本に核攻撃があったとき以外には核を使用しないことを米国に求めるべきだ、それによって生物・化学兵器に核兵器で対抗するという米国の政策を正し、緊張緩和に貢献できる、とバローさんは述べた。また、エンフサイハンさんは、「日本は一国非核兵器地帯」になって、周辺の国から安全の保証をさせる道を追求してはどうか、というモンゴルが行っている挑戟に則した提案を行った。
 芹沢さんが、「信頼」の重要性を強調したことに対して、「日本政府はアジアの信頼を得るために何をしているか」との質問があった。それに対して「信頼は話し合いからから始まる。6者協議や2国間を呼びかけているのがそのような努力である」と芹沢さんは繰り返した。それに対して「第1回6者協議が始まる前に、米国が北朝鮮に文書で安全の保証を与えようとしたとき、日本はそれを阻止したと伝えられる。日本は信頼醸成と逆のことをしている側面がある」と梅林さんが指摘した。
 日本が43トンものプルトニウムを溜め込んでいることを、北東アジア非核化の中でどう考えるべきか、という質問があった。芹沢さんは、「兵器目的のプルトニウムと、平和目的のプルトニウムを区別すべきである。兵器目的に関してはFMCT(核分裂物質生産禁止条約)を日本は率先して推進している。平和利用に関してはエネルギー問題の議論が必要である。日本のエネルギー需要を考えると平和利用のプルトニウムを日本はいま否定できない」と説明した。これに関連して、バローズさんは日本がFMCTに積極的な国の一つであると評価しつつ、「すべてのプルトニウムは核兵器に使えるというのが国際常識である。ウラン濃縮やプルトニウム抽出を一国では行わないで国際管理することを、日本やドイツが推進すべきだ。また、既存の非核兵器地帯もこれからできる非核兵器地帯も、地帯内で一国がこれらを行うことを禁止すべきだ」と提案した。バナイクさんは「FMCTは、生産禁止だけではなく、既存の核分裂物質も管理する内容にすべきだ」とし、パキスタンがこれを主張していることを紹介した。
「北東アジア非核兵器地帯を推進する」という努力目標を日本提案の国連総会決議に含めて欲しい、という貴重な提案が出された。これに対して芹沢さんから「ご提案をいつも頭に入れて考えたい」と肯定的な発言があったことは、大きな収穫であった。

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<「今こそ」市民が動くとき>
 コーディネーターが具体的な行動についての意見を求めたが、そのような発言が少なかったのは残念であった。会場から「議員や自治体の役割が大切ではないか」という発言があったことを受けて、締めくくりとして梅林コーディネーターは次のように発言した。「北朝鮮が核実験を行った情勢を受けて、短期的な議論と中期的な議論のあいだの混乱がある。交渉か制裁か、太陽政策をどうすべきか、米朝会談を促進すべきだといった短期的な議論は当然にも大切な議論である。それに対して「北東アジア非核兵器地帯」は中期的な目標といえる議論である。しかし、『今こそ』この中期ビジョンを強調することが、私たちが北朝鮮が核実験をした事態に正しく反応するために重要ではないか、というのが、この分科会の趣旨であった。
 ではどうするか。ひとりひとりの市民ができることを始める、市民が立ち上がることが基本である。たとえば、非核宣言自治体が『北東アジア非核兵器地帯を求める』という決議なり宣言を行う運動の波を市民の声で起こすことを提案したい。これは日本の市民がもっている財産を活かす有効な道だ。また、3年前に生まれた核軍縮議員ネットワークという財産もある。議員を選出しているのは私たちであり、市民こそ影響力を行使できる。まず『私』が動かなければ何事も始まらない。今日出されたさまざまな提案や意見を、その過程で活かして欲しい。」
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