特別企画 : へいわってどんなこと? 絵本作家 浜田桂子さんとともに

私たちが子どもたちに残すべき最大の遺産は平和で核兵器のない世界です。
明日の主人公の子どもたち と一緒に、身近なところから創る平和を考えてみましょう。

ジアの平和と安全について話し合います。

コーディネーター:

浜田 桂子(絵本作家)
広瀬 訓(長崎大学RECNAセンター長)


 こんにちは。特別企画「へいわってどんなこと? 絵本作家 浜田桂子さんとともに」の報告 をさせていただきます。今回、初めて絵本作家をお招きしてお話を聞くという企画が実現しまし た。今まで地球市民集会に参加したことのない方や子どもたちに来てもらうための新しい試みで した。絵本を通して平和を伝えるという、今までにないやり方を取りました。  講演に先立って、長崎大学核兵器廃絶研究センターの広瀬訓教授に、「核兵器ってどんなもの?」 というミニトークをお願いしました。広瀬先生が子どもたちにどのような話をするのか、参加者 は興味津々でした。お話は「原子爆弾の中には何が入っているか、知ってる?」という問い掛け で始まり、「あいつは嫌い、あいつは憎い、あいつは怖い」という気持ちがぎゅっと詰まっていると。 そして、この「嫌い、憎い、怖い」という気持ちを「仲良くしたい、大好き」という気持ちに変 えていけば、原子爆弾をなくすことができるという思いがけない展開でした。身近なところに引 き寄せた話だったので、分かりやすく、子どもに核兵器廃絶や平和をどう伝えるかのヒントをた くさん頂きました。
 浜田さんの講演内容に入る前に、この日中韓平和絵本『へいわってどんなこと?』について説 明します。2005年に浜田桂子さんを含む日本の絵本作家4名が、中国・韓国の絵本作家に平和を テーマにした絵本を作ることを提案しました。その根底には、国と国はぎくしゃくしていても、 絵本の分野では交流を持つことができる、心を一つにして絵本を作ることができるという思いが ありました。また、子どもたちにとって最も大切なことは、他の国の人たちと仲良くして豊かな 信頼関係を築いていくことであり、戦争のない平和な世界をつくることだという強い思いがあり ました。この呼び掛けに応え、中国・韓国からもそれぞれ4名の絵本作家が参加して、各自が1 冊の絵本を作り、全部で12冊の絵本が3カ国で出版されました。浜田さんはこの絵本の韓国語版 を持って、韓国だけではなく平壌にも行って子どもたちと読んできました。平壌には日本のよう な質の良い絵本がなく、子どもたちは絵本を目にしただけで歓声を挙げるそうです。絵本を読む 中で、浜田さんは平壌の子どもたちも他の国の子どもたちと違いはないと感じたそうです。  講演の進め方は、絵本を大写しにして、浜田さんが読み、そのページについてお話をするとい うものでした。全部読むのは無理なので、一部だけ紹介します。「へいわってどんなこと? きっ とね、へいわってこんなこと。せんそうをしない。ばくだんなんかおとさない。いえやまちをは かいしない。だって、だいすきなひとにいつもそばにいてほしいから」。この後も「へいわって どんなこと?」に対する答えが続きます。そして、浜田さんが一番伝えたかったページが最後に 来ます。「へいわって、ぼくがうまれてよかったっていうこと。きみがうまれてよかったってい うこと。そしてね、きみとぼくはともだちになれるっていうこと」。浜田さんが一番伝えたかっ たのは、一人一人の命が過去からずっとつながってきた奇跡のようなものであり、それは自分の 命も他の人の命もだということです。平和を守るというのは互いの命を尊重していくことだと改 めて知らされました。
 たくさんの方がアンケートを書いてくれましたので、一部をご紹介します。「絵本を切り口に するということは、これからを担う子どもたちに、平和とは何かを考えてもらう良い企画だと思 いました」「絵本の力が大きいことを再確認しました」「大人も子どもも感じることは同じだと思 います。行動に移すのは大人の務めです」「絵本が生まれた背景、作者・浜田さんの思いがよく 理解できてよかった」「絵本の力のすごさが伝わってきました」「浜田先生の絵本やお話を聞いて、 絵本を通して子どもが平和を考えたり、他の国の子どもたちと文化的に交流してつながりを求め ていくことは、非常に大切なことだと思いました」「自分に子どもが生まれたら読んであげたい と思いました」「戦争はいけないことだと分かっていても、上手に子どもに説明するのはとても 難しいです。でも、あなたが生まれてくれたことが平和と幸せなんだよということは伝えられま す」「浜田桂子さんの話は心に残る話ばかりで、共感を広げるということ、それが平和につなが るということを心に留めて、これから人と人との関わりを大切にしていこうと思いました」「絵 本の力強さをさらに感じ、良い機会を得ました」「共感を広げる力、核兵器廃絶の原点になるの ですね。非常に分かりやすいお話でした」「今後もこういった機会をいろいろなところでやって いただきたいです」「私は父の被爆体験と兄弟たちのことを絵本にしようと思っていましたので、 とても参考になりました」「絵本で平和を小さな子どもたちに伝える大切さを学ばせていただき ました」「大画面で、浜田さんの優しい声で絵本を解説付きで読んでもらうという贅沢な時間は ありがたかったです」「命が偶然ではないというエピソードも改めて心にしみ、遠く離れている 娘や孫たちと一緒にこの絵本を読みたいと思います」。
 次の二つは、子どもたちの感想です。「戦争をしてはいけないと思った。だから友達を大事に する」「日本だけじゃなく世界が平和になるように、家族や友達と仲良くしたいです」。  次の感想を最後に、報告を終わります。「地球市民。市民の中には子どももいるのだというこ とを改めて思いました。絵本というツールで大人も子どもも一緒に考える場というのは、今まで なかった気がします。こういう場って大事なのではないでしょうか」。
 以上で特別企画の報告を終わります。