分科会4 : 核兵器なき世界の実現をめざす

NPT体制と核兵器禁止条約の役割 現在のNPT体制における核兵器禁止条約の役割を徹底的に議論します。

コーディネーター:

川崎 哲(ピースボード共同代表)
ジャクリーン・カバッソー(西部欧州法律財団事務局長)

パネリスト
太田 昌克 日本:共同通信編集委員
ダニエル・ホグスタ スイス:核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)コーディネーター
タリク・ラウフ カナダ:元国際原子力機関(IAEA)検証安全保障政策課長
土岐 雅子 アメリカ:ミドルベリー国際大学院
ジェームズ・マーティン不拡散研究所
今西 靖治 日本:外務省軍縮不拡散・科学部 軍備管理軍縮課課長


 ありがとうございます。他の報告者の方々は報告の準備ができたと思いますが、第4分科会は 昼食の少し前に終わったので、きちんとした報告書を準備できませんでした。ですが、最善を尽 くして、どういう話をしたかご報告させていただきたいと思います。
 私たちのトピックは「核兵器なき世界の実現をめざす NPT体制と核兵器禁止条約の役割」 でした。まずは核の危機が迫っていること、核保有国間の対立がコントロールできない状態にな る可能性があるかもしれないことについて議論しました。核兵器国とその同盟国が核兵器禁止条 約(TPNW)の交渉にすら参加せず、そしてTPNWを全く認めない状況です。まさにこのよう に溝の深い世界に私たちは住んでいるのです。ちょうど十字路に来ているところではないでしょ うか。このような核兵器禁止条約で希望が見える一方で、危機も高まっています。核兵器国と同 盟国たちはTPNWがNPT体制を弱めるのだと言いますが、外務省の今西さんを除いて、全ての パネリストがそれを否定しました。そして、TPNWは実際にNPTを強化し、第6条の実施に資 するものなのだと申し述べました。TPNWの前文において、その精神がきちんとうたわれてい ます。
 共同通信の太田さんからは、TPNWの交渉にどうして日本は参画しないのかという疑問が投 げ掛けられるとともに、それはアメリカと日本との長きにわたる関係性によるものであろうとい うお話がありました。つまり、1953年に日本の水域にアメリカによって核が持ち込まれるという 密約があったことが原因であるということです。また、核の傘の下にいることが現在も進んでい る、認めている、是としている状態であり、これが原因であるということでした。
 タリク・ラウフさんからは、核兵器はまさに大量破壊兵器であり、人類が造った、地球を完全 に破壊できる唯一の兵器であるというお話がありました。これを否定することはできません。ま た、NPTにおいては二つの国のカテゴリーがあるというご指摘がありました。核保有国と核の 保有を認めず非難する国です。しかし、それとは別に核の傘国というものがあります。TPNW について、これによって新たな法の規範がつくられるものではないという批判がありますが、こ れによって新たな国際法がつくられる期待があるというお話がありました。また、同盟国が核兵 器国に圧力をかけるべきであり、核の傘国がTPNWに参画すれば、例えば日本のような核の傘 国が核兵器禁止条約に調印すれば、この対立を壊すことができるのではないかという意見があり ました。
 土岐さんからは、2010年のNPT最終文書ではアクションプラン22に軍縮教育が含まれており、 また、TPNWの前文にもその内容が含まれているというお話がありました。2002年の国連の決 議において、コフィ・アナンは無知がまさに危険であり、中でも核兵器のレガシーに無知である ことは非常に危険なことであると言及されました。土岐さんは、高校において不拡散教育がロシ アやアメリカ、日本の学生も含めて行われていることを紹介され、また、核抑止の理論には核軍 縮教育によって論駁できるという2013年の潘基文氏の言葉を引用されました。
 今西さんは最善を尽くして日本の立場を説明されました。ただ、ほとんどの方は納得できなかっ たと思います。日本は核保有国と非核保有国の橋渡しをしたいと考えており、段階的にロードマッ プを作って、例えば賢人会議を開催することによってそれを徐々に達成していきたいというお話 を今西さんは何度もおっしゃったのですが、具体的な提案は出されなかったのです。つまり、こ の橋渡しとは具体的に何をするのかということは示されませんでした。また、今西さんは何度も、 日本は他の国々から核兵器の脅威を受けるから日本国民を守るためには核の傘国でいるしかない とおっしゃいました。しかし、私たちが合意したことがあります。それはもっと礼節を持つとい うことです。国際的な対話、国家間の対話においては礼節が必要だということに合意しました。 このワークショップはまさに徹底的に議論する、熱のこもった議論というタイトルだったのです が、私たちは礼節を持って熱のこもった徹底的な議論を行いました。
 すみません、ダニエルさんがおっしゃったことを言いませんでしたね。ダニエルさんがお話し した内容には言及したのですが、メモを殴り書きしていたものですから。先ほどNPTとTPNW の関連性について申し上げましたが、これはダニエルさんがおっしゃったことです。ダニエルさ んからは、どのように核兵器禁止条約を新たなキャンペーンツールとして使うことができるのか、 また、ノルウェーやその他の国々の金融機関が核兵器を投資項目から外していることが示されま した。
 皆さんの内容について言及したでしょうか。ありがとうございました。