全 体 会 議
全体会議 NPT再検討会議にのぞむ 〜好機を生かすために〜

コーディネーター 川崎   哲

コーディネーター
ジャクリーヌ・カバッソウ
 全体会議は「NPT再検討会議にのぞむ−好機を生かすために−」と題して、ジャクリーヌ・カバッソウと川崎 哲の共同司会のもとで、黒澤 満、レベッカ・ジョンソン、鈴木秀雄、中村登志哉、田中熙巳の各パネリストからの発言、そして討論が行われた。会場から活発な意見や質問が出された。  

パネリスト 中村登志哉

発言や討論の中では、まず、被爆者が語ること、そして平和教育の重要性があらためて強調された。その関連で中村登志哉・長崎県立大学シーボルト校教授は、原爆投下をめぐる日米の「認識のギャップ」に触れ、ドイツにおける「過去の克服」の取り組みを紹介しながら、日本が被爆国として核兵器廃絶への外交を展開するには自らの戦争責任問題への対処が不可欠であると指摘した。

パネリスト 黒澤  満

 NPT再検討会議の課題について、黒澤満・大阪女学院大学大学院教授は、オバマ大統領の出現以来「核軍縮に向けたきわめて望ましい環境にある」としたうえで、条約の過去の運用状況の検討はもちろんだが「将来に向けた措置」をむしろ重視すべきだと述べた。

パネリスト レベッカ・ジョンソン

 レベッカ・ジョンソン・アクロニム軍縮外交研究所所長は、
@核兵器の使用を人道に対する罪とすることを視野に入れた核兵器の役割の縮小、
A後戻りできない透明性をもった核軍縮プロセス、
B核実験禁止や核物質管理など「核のない世界」を維持する条件作り、
という3つの課題群を提起した。

パネリスト 田中 煕巳

 田中熙巳・日本原水爆被害者団体協議会事務局長は、「核抑止力は核兵器が使用されることが前提になっている。使用することは絶対にあり得ないのであれば、核兵器は存在の意味が失われる。」として、核兵器に頼らない安全保障政策を政府にとらせることが重要であることを強調した。

パネリスト 鈴木 秀雄

 鈴木秀雄・外務省軍備管理軍縮課課長は、「核不拡散」「核軍縮」「原子力の平和利用」がNPTの3本柱であるとし、3分野をバランスよく強化することが日本政府としての方針であると説明した。また、核保有国対非核国といった対立構造を乗り越えて合意形成をすべくリーダーシップを発揮するとした。また、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)の報告を受けて、日本として核軍縮・不拡散に関する「新しい政策提言」を構築する作業を進めていると語った。
 ジャクリーヌ・カバッソウ・西部諸州法律財団事務局長は、5月のNPT再検討会議に向けた米国および世界のNGOが協力し、さまざまな活動を準備していること、その様子はウェブサイト(http://peaceandjusticenow.org/wordpress/)で読むことができることを紹介し、日本からの市民の支援を訴えた。
 NPT再検討会議を通じて核兵器廃絶への前進を生み出すためには、政府、専門家、NGO、市民、被爆者それぞれに重要な役割があることが、このセッションであらためて浮き彫りになった。各層を代表するパネリストが並び、会場に集まった市民と意見交換したことは、それを象徴するものであった。

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