来賓あいさつ

 金子長崎県知事、田上長崎市長、土山実行委員会委員長、NGOの皆様、御出席の皆様。  外務大臣政務官の西村智奈美でございます。本日はお招きいただきありがとうございます。
「第4回核兵器廃絶―地球市民集会ナガサキ」の開会に当たり、今次集会の開催のため御尽力された実行委員会の皆様、そして、長崎県、長崎市等の関係者の方々に対し、深く敬意を表します。65年前に原子爆弾が投下されたここ長崎の地で、NGOと長崎市民・県民の皆様の連帯の下、核兵器のない平和な世界の実現を目指す国際集会が開催されることは、大変意義深いことです。
 本年は、「核兵器のない世界」に向けた取組を進める上で大きな意味を持つ一年となります。昨年4月、アメリカのオバマ大統領は、プラハにおける演説の中で、核兵器を使用した唯一の国家としての道義的責任に言及し、「核兵器のない世界」を追求する決意を表明されました。この演説は、核軍縮に向けた世界の流れを大きく変え、私も大いに感銘を受けました。
 そうした気運の高まりの中で、本年は4月に核セキュリティ・サミットが、そして5月には核兵器不拡散条約(NPT)の運用検討会議が開催されます。核軍縮・核不拡散に向けた流れを一層確かなものとしていくために着実な努力を進めることが、本年、日本はもちろん、国際社会全体にとって重要な課題となります。
 鳩山政権は、発足からまだ数か月ではありますが、核軍縮・核不拡散の分野で主導的な役割を果たすべく、積極的な外交努力を展開してきています。
 皆様も御記憶かと思いますが、昨年9月にニューヨークで開催された国連安全保障理事会の首脳会合では、鳩山総理が、核兵器廃絶のため世界の先頭に立つという日本の決意を力強く表明されました。また、昨年10月には、「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」を示す決議案を国連総会に提出し、171か国という圧倒的多数の賛成を得て可決されましたが、2001年以降、一貫して反対の立場であったアメリカが初めて共同提案国に加わったという意味でも、今回の決議は画期的意味を持っています。
 岡田外務大臣をはじめ、副大臣、政務官を含む外務省の政務三役は、核軍縮・核不拡散の問題を、気候変動の問題と並んで、今年特に重点的に取り組むべき地球規模の外交課題の一つと位置付けています。特に、岡田大臣は、「核兵器のない世界」に向けた決意を国際社会と幅広く共有することを目指し、この1か月余りの間に、多くの国の外務大臣に対し、核軍縮・核不拡散の問題に共に全力で取り組むよう呼びかけています。
 もちろん、私達としては、国際社会が今まさに直面している問題、すなわち北朝鮮やイランなどの核をめぐる問題を一日も早く解決するための努力も粘り強く続けています。北朝鮮に対しては、関係国と緊密に連携しつつ、六者会合の早期再開と核の放棄を働きかけるとともに、国連安保理決議に基づく措置や日本独自の措置を着実に実施していきます。イランについても、様々なハイレベルでのやり取りの機会をとらえて申し入れを行っています。今後とも、これら喫緊の核の問題の解決に向け努力していきます。
 政府としては、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」の報告書も参考にしつつ、現在、関係国とともに、核軍縮・核不拡散を主導する新しい政策提言を発出するための検討作業を進めているところです。5月のNPT運用検討会議が、核兵器国と非核兵器国の「対立」ではなく「協力」の場となるよう、そして、核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用それぞれの分野において前向きな合意が達成されるよう、リーダーシップを発揮し、最大限貢献していく考えです。 「核兵器のない世界」という目標の実現に少しでも近づくためには、政府による取組だけでなく、市民社会からの幅広い力添えを得つつ、共に取り組んでいくことが重要です。その意味で、今回の集会のような取組、中でも被爆体験を後の世代に継承していくための努力は、貴重かつ不可欠なものであると考えます。その意味で、この3日間活発な議論が交わされ、真に実りある会合となることを強く期待し、また確信いたします。
 日本政府は、1983年以降、軍縮教育の一環として、国連の軍縮フェローシップ・プログラムの枠組みを通じ、累計で700名を超える世界の若手外交官を広島・長崎に招いてきました。そのような政府の取組に対する長崎の関係者の方々の御協力に、改めて深淵なる感謝を申し上げつつ、今次集会の成功を祈念して、私の挨拶とさせていただきます。


外務大臣政務官  西村 智奈美
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