核兵器廃 絶地球市民集会ナガサキです。
核兵器禁止条約の採択、核兵器廃絶国際キ ャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受 賞、さらには、朝鮮半島における非核化の動 きなど、近年、核を取り巻く状況が大きく変 動しています。 この集会では、「核兵器のない世界」を実現 するために私たち市民社会は何ができるか、 何をしていくべきか幅広い世代のみなさんと 共に考えていきます。 被爆地長崎から、核兵器廃絶の願いを世界 へ発信しましょう。
"核兵器なき世界は近づいているか" 朝長 万左男 実行委員長
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第6回「核兵器廃絶―地球市民集会ナガサキ」にご参加の皆様を心より歓迎申し上げ ます。 前回第5回(2013)の集会以来5年が経過し、世界の核兵器廃絶の潮流は劇的な展 開をとげ、「核兵器の非人道性」の議論がくり広げられ、国際世論を喚起してきました。 多国間交渉の結果、この核兵器の非人道的脅威に立脚した核兵器禁止条約が、2017 年7月7日、ついに国連において採択されました。10月はじめ現在69カ国が署名し、 19カ国が批准するに至っています。核禁条約の早期発効が待たれます。 さらに、ここまで多大な貢献をしてきたICANに対し、昨年12月ノーベル平和賞が 授与され、ヒバクシャとともにその一翼を担ってきた長崎市民は大きな喜びと新たな勇 気を与えられました。 しかしながら核兵器保有国とその同盟国である日本やNATO諸国など30カ国の国家 集団が、紛争の絶えない世界的安全保障の混迷を理由に、いまなお核兵器による戦争抑 止政策を継続し、禁止条約交渉を拒絶し、署名もせず、禁止条約推進国側を圧迫さえし ています。 このような二つの大きな流れは、核廃絶へのアプローチの分断の兆候を見せており、 NPT条約第6条に謳われている「核なき世界の実現」という崇高な共通目標に反してお り、核軍縮の停滞を招いており、被爆地長崎の市民は深刻な状況ととらえています。 今回の地球市民集会ナガサキのメインテーマは、核禁条約の力とICANのノーベル平 和賞受賞に象徴される市民社会の力を発揮して、新たな方向性を模索するものでありま す。核問題の研究者、核政策の専門家、NGOの代表、市民、学生、子供たちが一同に 会して、73年間、最後の被爆地であり続けている長崎が、「核兵器は二度と使用できな い兵器である」国際規範の象徴として、この分断を克服し、「核なき世界」をもたらす 核軍縮の最終ステージの開始を告げる場となることを願ってやみません
長崎県知事 中村 法道
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「第6回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」の開催にあたり、国内外から多くの皆 様にお集まりいただき、開催地の知事として厚くお礼申し上げます。
1945年8月9日、ここ長崎に投下された一発の原子爆弾は、一瞬にして長崎の街を 破壊し、7万4千人余もの尊い命を奪い去りました。あれから73年、廃墟と化した街は、 県民のひたむきな努力により、今日では、平和を願う緑豊かな美しい街に生まれ変わり ましたが、愛する家族をなくされたご遺族の悲しみは73年の歳月を経ても、決して癒 えることはありません。また、被爆者の皆様は、消し去ることのできない大きな傷跡と、 放射線による健康障害に今なお、苦しんでおられます。
昨年は国連における核兵器禁止条約の採択や、ICANのノーベル平和賞受賞、また、 本年は南北首脳会談、米朝首脳会談が開催され、朝鮮半島の完全な非核化に取り組むこ とが合意されるなど、核兵器廃絶に向けた機運が高まっているところです。 去る8月9日に行われた、被爆73周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典において、 アントニオ・グテーレス国連事務総長は「長崎を核兵器の惨害で苦しんだ地球最後の場 所にするよう決意しましょう」と呼びかけられました。
一方で、核兵器の役割を増大する動きや、核軍縮の進め方に関して、関係国での意見 の対立もいまだに見られます。 核兵器の使用はいかなる場合も、断じて許されないものであります。
核兵器廃絶のためには、核兵器の非人道性を正しく理解し、核兵器保有国と非保有国 とが互いの信頼のもとに、議論し共に行動することが重要であります。 私たちは、「長崎を最後の被爆地に」との思いのもと、原爆の悲惨さと非人道性を世 界の人々に伝え、1日も早い「核兵器のない世界」の実現を訴え続けてまいります。
結びに、お集まりの皆様、関係者の方々に心から感謝申し上げ、今後益々のご健勝、 ご活躍をお祈りいたしまして私のメッセージといたします。
長崎市長 田上 富久
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国連や国際社会の場において、国内外のNGOなどの市民社会の影響力が増している 中、「核兵器のない世界をこの手に~禁止条約とICANノーベル平和賞を力に~」をテー マに掲げ、核兵器廃絶の実現を目指す多くの人々が、世代と国境を越えて長崎に集い、 第6回「核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」が開催されますことを心からお喜び申し 上げます。
昨年7月、被爆者、そして私たち市民の長年の願いが実を結び、国連で「核兵器禁止 条約」が採択され、10月には「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が、核兵器禁止 条約制定に向け尽力した功績を称えられ、ノーベル平和賞を受賞しました。 今年、長崎でも核兵器廃絶の気運を高める大きな動きがありました。
長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に国連から現職の事務総長として初めて、グテーレ ス事務総長に参列いただき、「長崎を最後の被爆地に」という核廃絶への力強いメッセー ジが世界に大きく発信されました。参列前には長崎と広島の被爆者との面談、地元の小 学生と折り鶴を折る交流、原爆資料館の見学をされ、被爆者、次世代を担うこどもたち、 そして私たち市民の核廃絶、平和を願う気持ちを直接国連のトップに伝える貴重な機会 を得ました。
一方、国際社会には依然として、約1万4千発を超える核弾頭が存在しており、市民 社会が協力して、核兵器のない世界を求める声をこれまで以上に世界に伝えていく必要 があります。 この集会を通じて、「核兵器のない世界」の実現に向け、これからの市民社会をリー ドしていく若者とともに私たち市民社会ができることについて、様々な観点から活発に 議論され、核兵器廃絶に向けた国際世論が、幅広い世代に訴える力として高まることを 期待しております。
最後に、この集会の成功を心から祈念するとともに、国内外からご参加いただいた皆 様に感謝を申し上げ、私のメッセージといたします。