分科会7 NGOの取り組み
2003年11月23日(日)14:00〜17:00 平和会館ホール

第7分科会「NGOの取り組み」報告
コーディネーター 森瀧春子

「NPT2005年に向けたNGOの運動と課題」を明らかにするため、分科会ではまず、2000年NPTで打ち出された「核兵器廃絶への明確な約束」以降、2003年の現在に至る世界の核をめぐる状況をどう把握するかが第一の課題でした。
2001年9月11日以降、ブッシュ政権がとって来た政策とその実行によって、まさに切迫した危機的状況である事、すなわち、2002年1月の「核態勢の見直し」により、核使用を含む先制攻撃論によってのイラク攻撃、小型核兵器及び強力地中貫通型核兵器の開発、そのための地下核実験再開準備期間の短縮など、核の実戦使用を前提とするというもので、冷戦終結後かつてない危機の中に置かれているという共通認識を得ました。
NPT体制の持つ限界性、即ち核保有5ヶ国の存在を前提とした差別的不拡散条約である事、核の平和利用を認めた事が核開発、核拡散の可能性を与えている事などが指摘されると同時に、2000年NPT再検討会議の「核兵器廃絶への明確な約束」と13項目の具体化をテコに世界各国で取り組まれて来た反核運動にとって、更にこれを有効なツールとして、人類がその努力を傾けて来た核兵器廃絶への到達点として、このまま反故にさせてはならない事が確認されました。
具体的な方策として、イラク反戦運動の世界的な盛り上がりに見せた民衆の力のうねり、その人間の心を一つに結ぶ力こそが、政府・政治を動かし得るという確信が述べ合わされました。
アメリカの一方的強権主義、それに追随する各国政府の欺瞞性を暴き出し、正確な情報分析を提供する事、特に被爆60周年目にあたる2005年に向け、ナガサキ、ヒロシマの核戦争体験の実相をあらためて伝えてゆく事の重要性、一人一人の市民が何らかの行動に参加しその意思を表わす受け皿づくり、若者たちが、その行動的エネルギーを発し、反核運動の中心的担い手になる事、など、各国NGOにおける活動の経験にふまえて提起されました。
特に具体的な大きな反核キャンペーンの提起がなされました。
平和市長会議による「2020ビジョン〜核兵器廃絶のための緊急行動2005NPTキャンペーン」による2020年核兵器廃絶へのヒロシマ・ナガサキプロセスです。シティキャンペーンと名付けられるそれは、2005年NPTに向け、世界市長会議に加盟する107ヶ国、555都市を中心として、直接民意を代表する自治体を動かし、ニューヨークへの2004年、2005年の結集で一大キャンペーンを展開し、世界の政治の流れを動かしていこうとするものです。
分科会では、この提起を受けて、反核NGOとして連帯して民衆の運動を盛り上げ、各々の自治体をつき動かし大きなうねりを作ってゆこうとする合意がなされました。例えば、日本の非核宣言自治体を真に非核運動の主体として動かしてゆこう、2004年ニューヨークに平和市長会議のメンバーと共に多数でのり込み、一大キャンペーンのための行動を起こそうというものです。
この分科会には、世界各国、イギリス、スイス、ドイツ、アメリカ、そしてナガサキ、ヒロシマ、NGO代表など、代表的な運動を担う人々が集い、知恵を出し合い活気に充ちた未来への活動のエネルギーが発せられる盛り上がったものになりました。クリーガーさんが言われた様に、40億年地球の歴史の中の一章である程の時代、人類の歴史の次の章のページを開けるものにしよう。本当に人類の英知を結集して、人類の力で滅びてしまうことのないように頑張ってゆきましょう。