分科会8 被爆者フォーラム

2003年11月23日(日)14:00〜17:00 長崎原爆死没者追悼平和祈念館交流ラウンジ

第8分科会『被爆者フォーラム』
コーデイネータ 山田拓民

追悼祈念館ラウンジでひらかれましたこの分科会には、140名近くの参加者があり、広島での被爆者4名と長崎での被爆者2名の発言をもとに論議を交わしました。
広島で被爆し3歳で孤児となった広島の山岡さん、在外被爆者として二重、二重の苦しみを体験してきた韓国の郭貴勲さん、58年間自分と身近な人に起こった苦悩を述べた長崎の内田さん、この3人の証言は、参加者の胸を打ちました。このあと愛知の沢田さんは物理学の研究者の立場から体内に取り込まれた放射性物質の影響は外からの放射線の影響を上回るものがあることを指摘、入市被爆者を軽視する政府の対応を批判しました。
ついで広島の坪井さんは、どのような理由を挙げても正当化することは出来ない原爆投下は、国際法違反の戦争犯罪であることを明らかにし、長崎の山田は、広島・長崎を原爆の被害にさらした責任に蓋をし、戦争の被害は国民ががまんすべきものという発想を捨てない歴代日本政府の被爆者対策を転換させることは、ふたたび被爆者をつくらない21世紀を築く上で重要な一歩だと報告しました。
こうした報告を受けて、意見の交流を行いましたが、12月15日からアメリカのスミソニアンで広島に原爆を投下したエノラゲイが科学の発達のシンボルとして公開・展示されることについても多くの発言がありました。
3時間のフォーラムでは、十分な討議はできませんでしたが、ここを出発点に、改めて原爆によってもたらされた被害の実相を見つめ、地域や職場で論議を積みかさねようということを確認したところです。ところで私が気になったのは、「復讐ではなく和解こそが被爆者の心」という趣旨の発言でした。会場でも疑間が投げかけられましたが、きょうの新聞を見ると他の分科会でも同様の趣旨の発言があっているようで、ますます気になっています。もちろん復讐には反対ですが、核兵器による先制攻撃さえも平然と唱えられているとき、単に和解でいいものでしょうか、皆さん方と一緒に、今後の課題として考えてゆきたいと思っています。