分科会5 「平和教育・平和文化」

2003年11月23日(日)09:30〜12:00 長崎原爆死没者追悼祈念館交流ラウンジ

(報告者)舟越耿一


「平和教育・平和文化」の分科会は、「逆風の中の平和教育を考える」というテーマで、5名がゲスト・スピーチを行い、参加者の9名が質疑に加わりました。参加者は150名、座りきれない盛況でした。
ケート・デュースさんは、平和の文化のためにNGOに何ができるかという観点から、国連の下で、世界のNGOが実に様々な取組みを行っていることを報告しました。「軍縮・核の不拡散のための教育」や交流、対話の重要性を確認することができました。
キャサリン・サリバンさんは、実に見事なプレゼンテーションを見せてくれました。「核兵器のことを別の言葉で表現する」や「言葉で表現しえないものを音で表現する」という観点は実に新鮮であり、「大量殺致の音」は会場を完全に魅了しました。
濱崎均さんは、長崎の証言の会35年の歴史とその意義について話しました。被爆体験を言葉で表現することや証言活動の重要性、また被爆者が,心と体に傷を負いながらも証言を続けていくことの重要性と使命感をみんなが理解できました。
川副忠子さんは、長崎の平和教育が苦難の歴史を歩みながらも、今現在は、教育行政も平和教育に熱心となり、学校と地域で様々な平和教育を行っていることを報告し、特に行動したい子ども達に表現のチャンスを作ってあげることの重要性を強調しました。
平野伸人さんは、6年目になる長崎の「高枝生1万人署名活動」を中心に発言し、それがいかに高枝生達の自主的な活動になっているか、そのことによっていかに高校生達が見事な人間的成長を遂げるかを話し、若者に発言や行動のチャンスをつくってやることの大切さを強調しました。

本分科会では、「戦争とテロが世界を覆い、大小さまざまの暴力と締め付けが日常化している時代状況」を「逆風」ととらえました。そして私は、「報復の連鎖を断ち切る言葉」、「暴力をしずめる言葉」をつむぐことを分科会の課題として提案しました。
岡本三夫さんは以下のように話しました。2002年4月末から5月始め、広島と長崎の被爆者と市民が米国を訪問し、「平和な明日を求める9・11遺族の会」と交流したこと、そこでは、半年前に家族の一員をなくし廃墟の中を探し回った米国市民と、半世紀以上前に類似の経験をした被爆者たちの心が自然に通じたこと、両者の共通項は「報復をしない」ということだったこと。
岡本さんが語った次の言葉すなわち<「リメンバー・ヒロシマ!」「リメンバー・ナガサキ!」ではなく、「ノーモア・ヒロシマ!」「ノーモア・ナガサキ!」が平和教育の根本であること>、これが本分科会のまとめの言葉になります。「リメンバーではなくノーモア」、ここには暴力をしずめ、暴力の連鎖を断つ哲学が示されています。